『あなたという習慣を断つ』ジョー・ディスペンザ著
エイブラハムの教えに出てくる願望ロケット、波動、ヴォルテックスとは結局どういうことなのか。物質世界の住人からすれば簡単には理解しにくい話だ。
量子物理学や脳科学的見地から、願望実現化の仕組みを説くジョー・ディスペンザ博士(米)は、エイブラハムの教えにどことなく通じるものがある。
『あなたという習慣を断つ』ジョー・ディスペンザ著
日本ではまだこの一冊のみ、けれども本国では何冊も世に出ているほどの人気ぶりで、かねてから著者のことが気になっていた。
というのはエイブラハムとセットにした動画があったり、「同じことをディスペンザ博士が言ってた!」等の書き込みを目にするからだ。
ブルース・リプトン博士とともに人気があるらしく、「エイブラハムとジョーは私たちの愛すべき先生!」「ディスペンザ博士にノーベル賞を」という声さえあるほど?!
ジョー・ディスペンザ博士はこの著作で、人の一生は遺伝子によってではなく、自らが選択した現実を創出する力があることを、量子物理学と脳科学の見地から伝授している。
現在、量子物理学によって観察者の意図が波動エネルギーになったり、粒子(物質)になることは証明済み。
博士は、物質と波動エネルギー両方の特性を合わせ持つ素粒子のユニークさを、「つかみどころなく物質として三次元に現れたと思えば、量子場の時空の彼方へ消えるを繰り返す」とし、その世界を読者にわかりやすいように、図解をまじえながら解説している。
ディスペンザ博士とエイブラハム
究極的にはどのスピリチュアルも同じことを言っているのだと思う。ただそれぞれ教義のスタイルが違っている。
数あるスピリチュアルの中でも、特にこのディスペンザ博士のものはエイブラハムの教えを、量子の世界から説明するようなところもあるので、あなたという習慣を断つ を例に紹介する。
宇宙に存在する潜在的可能性は、全て電磁場を持つ確率の波動で、エネルギーとしての性質を持っている。私たちの思考や感情もこの例外ではない。
願望ロケットを打ち上げる?
高揚した感情とオープンな心、明確な思考のもとに具体的な意図が合わさった時、私たちは量子場に対し驚くべき反応を誘発する信号を送っている。
引き寄せの法則?
思考を量子場の電荷、感情を量子場の磁荷として考えると、思考が電気信号を量子場へ発信し、感情は磁力となって外界の出来事を引き寄せる
ハイフライング・ディスク?
感謝や愛などの高揚した感情は波動が高いため、望むことがすでに出来上がったかのように感じられる意識状態に移行しやすい。これが量子場に電磁エネルギーとして送られると外的環境を創出し始める。>
ヴォルテックス?
あなたの将来の夢の一つが未来に実現化する様子を想像できるなら、その現実は量子場ですでに可能性として存在し、あなたに注目されるまで待機していることになる。あなたの意識の出現に影響を与えられるなら、理論上どんなものでも出現させる可能性がある。
ヴォルテックスにあるものを、いつどこでどうやって実現化するのかを考えるな、ソースに任せなさい?
手に入れたいものや欲しいものをイメージし、はっきりとした意図は持っていても、どのように手に入るかはあまり考えず、予測不可能な量子場に委ねる
意図的創造は、実現する前にヴォルテックスで完成しているので「必ずそうなる」と信じ、気長に待つ?
量子的創造するにあたって、起きて欲しいことが実際起きる前にありがとうと言い、気分を高揚させられるだろうか?未来のその瞬間をイメージし、まるで今その未来の場にいるような錯覚を感じられるだろうか?
源ソース?
量子場ですべてはつながっている。宇宙の万物同様、ある意味で私たちは物理的次元を超えたところで情報の海につながっている。私たちは主として思考を感情を通じて量子場とコミュニケーションをとっている。そこには普遍的知性の存在がある。
意図的創造と量子的創造
博士の量子場とエイブラハムのヴォルテックスのように、それぞれ内容を補完しあうような部分もあった。
博士: 内的環境(思考と感情)を変え、見たことのない物を創造する努力をしてほしい。そうすれば期待をはるかに上回る結果(外的環境)を得て、あなたは喜び飛びあがるだろう。その時あなたは量子的創造者となっている。
自分の内側、つまり思考と感じ方を変えることで外側の世界が変わる。まだそうなっていない状態に期待し、ソースに任せて受け取りを待つ。
エイブラハムの「意図的創造」と博士の言う「量子的創造」はどことなく似通っているようにも思える。
博士はこの辺りをスピリチュアルと科学の隙間を埋めるかのように、図解を含みながら説明している。
他にも量子場にアクセスする方法や瞑想のメカニズム、米ハートマス研究所の「心臓干渉」(ハート・コヒーレンス=感情の状態と心臓のリズムには特定のつながりがあるという研究結果)についての解説もあるなど、盛りだくさんでなかなか読み応えのある一冊だった。
実際、新しい生き方へ移行するのは「鮭が川を遡上するようなもの」と博士が書いている通り、相当な努力を要する。
これまでにプログラミングされてしまった信念や思い込みを、一つ一つ剝がしていくのは簡単なことでないからだ。
現状にとどまるか、ブレイクスルーするかはすべて自分次第…。
読み進むうちに、徐々に古い観念を脱ぎ捨てて生まれ変われるような構成になっているのが、このあなたという習慣を断つ本の巧いところ。
最後に・コペルニクス的転回?
スピリチュアル的な生き方を貫いていると、偏見と嘲笑を受ける部分もある。その意味でディスペンザ博士やブルース・リプトン博士は異端扱いなのかもしれない。けれども歴史を振り返ってみれば、逆説が正しかった例もある。
「なんと言われようが、自分の心の中に脈々と生きている考え(気づき)に従わないわけにはいかない」「あなたも孤高の道を行く覚悟はあるか?」という博士の言葉が印象的だった。
「量子のあなた」の章で、原子の99・99999%がエネルギーで0・00001%が物質だとしたら、わたしたちは物質というより、空洞で出来ている。
そうだとしたら物質にこだわるより、それ以外の方に注意を向ける方が賢明ではないか?と提言。
五感で知覚できるものベースで定義するのが、自分を制限する最大の元凶と博士が述べているのも、エイブラハムが教えていることに通じるものが有る。
さてディスペンザ博士の動画をチェックすると、覚醒者らしい語りが耳に優しく響く。アメリカのムーブメントは一足遅れて(それ以上?)こちらにやってくることもある。いつかディスペンザ博士もこちらでその名を知られることになるかもしれない。